取引先との打ち合わせや上司との会食で、「どこに座ればよいのだろう」と迷ったことはありませんか?
席順を考えるときの基本は、入口から遠い落ち着いた席を「上座」、入口に近い席を「下座」とすることです。
ただし、部屋のつくりや会合の目的、誰が車を運転するかなどによって、席順は変わります。
大切なのは、席順を通じてお客様や目上の方への敬意を示し、気持ちよく過ごしていただくこと。
この記事では、場面ごとの基本と、迷いやすい場合の対応をご紹介します
応接室の上座・下座
以下の図の数字は、上座からの順番を示しています。1が最上位です。
基本は入口から遠い席が上座


応接室では、一般に入口から遠い席へお客様を案内し、迎える側は入口に近い席に座ります。
これは、自社の上司が同席する場合も同じです。
まず来客側と自社側の座る場所を分け、その中で役職などに応じて席を決めます。
長椅子と一人掛けの椅子がある場合


長椅子のソファーと一人掛けの椅子が向かい合っている場合は、一般に長椅子側を来客用の上席とします。
入口からの距離だけでは判断しにくい配置では、椅子の種類も手がかりになります。
ただし、訪問した側が自分で判断して座るのではなく、相手の案内を待ちましょう。
オフィスの一角に応接スペースがある場合
執務スペースと応接スペースが同じ部屋にある場合は、一般に社員のデスクから離れた側へお客様を案内します。


電話や人の出入りなどが気になりにくく、落ち着いて話せる位置を考えましょう。
景色や絵画を楽しめる席がある場合
窓から庭園や美しい景色が見える場合、入口からの距離よりも眺めのよさを優先して、お客様の席を決めることがあります。絵画や調度品を楽しんでいただきたい場合も同様です。


通常なら下座に当たる場所へ案内するときは、「こちらですとお庭がよく見えますので、よろしければどうぞ」などと、理由を添えると丁寧です。
窓や絵画があるだけで席順が必ず変わるわけではありません。部屋の配置や相手の希望に合わせて案内しましょう。
来客を迎える前の準備
応接室は、急な来客にも対応できるよう、日頃から整えておきましょう。
席順だけでなく、安心して話せる環境を用意することも、おもてなしの一つです。
- テーブルや椅子に汚れ、ほこりがないか
- 不要な書類や備品が置かれていないか
- 時計やカレンダーが正しくなっているか
- 植物や花が手入れされているか
- 社内報や案内資料が古いままになっていないか
- 室温や照明が適切か
訪問先での座り方と振る舞い
案内された席に座る
訪問先では、自分が来客として上座を勧められることがあります。取引先へ営業や相談に伺った場合でも、勧められた席に座って構いません。
案内を受けたら「失礼いたします」と一言添えて着席しましょう。
席が分からない場合は、「こちらでよろしいでしょうか」と確認します。
上座を勧められることに何度も遠慮していると、やり取りを長引かせてしまいます。
姿勢と荷物の置き方
着席後は背筋を自然に伸ばし、背もたれに大きく寄りかからない姿勢を心がけます。
仕事用のバッグは、一般に椅子の脇の足元へ置きます。荷物置き場を案内された場合は、そちらを利用しましょう。
コートはたたんで扱い、預かっていただける場合はお礼を伝えて渡します。手元に置く場合は、膝の上や、椅子の座面の背中側など、邪魔にならず床に引きずらない場所に収めます。
資料や筆記用具は、必要になったときにすぐ取り出せるよう準備しておきましょう。
飲み物を尋ねられたとき
飲み物の希望を聞かれたら、遠慮しすぎず、「ありがとうございます。お茶をお願いいたします」などと希望を伝えて構いません。
飲めないものがある場合も、用意していただく前に伝えると、お互いに気を遣わずに済みます。
出された飲み物をいただくとき
飲み物を出していただいたら、まずお礼を伝えます。
相手に勧められたときや、話が一段落したところで「いただきます」と口をつけると自然です。
相手が飲むタイミングも目安になります。
全部飲み切らなければ失礼になるわけではありません。また、体質や体調などの事情で飲めない場合は、無理をする必要もありません。
その場合は、用意してくださったことへの感謝を伝え、必要に応じて飲めない事情を簡潔に説明しましょう。
会議室の席順
会議室では、議長席の有無や、社内会議か来客との打ち合わせかによって、席の決め方が異なります。
議長席を設ける会議
議長席がある場合は、一般に議長に近い席ほど上席とします。以下の図の数字は、議長以外の席を上席から順に示しています。
対面型の座席
長いテーブルの両側に、出席者が向かい合って座る配置です。


図では、テーブルの端に議長席を置き、議長に近い席から順に上席としています。
議長本人から見て右側が1番、左側が2番となり、以降も左右交互に、議長から遠い席へと続きます。
コの字型の座席
テーブルを「コ」の字に並べ、外側に出席者が座る配置です。


図では、奥の中央に議長席を置いています。
議長本人から見て右隣が1番、左隣が2番、その外側が3番・4番です。続いて、両側に伸びるテーブルの席を、議長に近い方から5番・6番、7番・8番の順としています。
円卓型の座席
円形のテーブルを囲んで座る配置です。


議長本人から見て右隣が1番、左隣が2番となり、議長に近い席から左右交互に順位が続きます。円卓でも、議長席を設ける場合は、その位置を基準に席順を考えます。
いずれも配置の一例です。実際には、入口の位置、スクリーンの見やすさ、会議の進め方なども考慮します。
左右の順位を含め、主催者が席順を決めている場合は、その案内に従いましょう。
来客と向かい合って打ち合わせをする場合
一般に、入口から遠い側へ来客を案内し、自社側は入口に近い側に座ります。
それぞれの側に複数人が並ぶ場合は、中央に責任者を置くなど、会話しやすい配置にします。
スクリーンや資料を見ながら進める場合は、見やすさも考慮して席を決めましょう。
宴会・会食の席順
床の間がある和室


床の間がある場合は、一般に床の間の前を上座とします。
床の間がなければ、入口から遠い落ち着いた席を上座とするのが基本です。
招待する側と招かれる側が分かれている会食では、お客様を上座へ案内し、主催者側が下座に座ります。
大人数の宴会
主賓には、上座側の中央など、会場の中心となる席に座っていただきます。


図は、主賓本人から見て右隣を次席、主賓の左隣を次の席とする「右上位」の配置例です。
和室では日本の伝統的な「左上位」に基づいて席を決める場合もあります。
左右の順位を一律に決めず、宴席の趣旨や主催者・会場の慣例を確認しましょう。
幹事は、入口に近い末席など、店員とのやり取りや進行のために動きやすい席に座ります。
足腰への負担などがある場合には、本人の希望を確認し、座りやすさや移動のしやすさを優先して案内しましょう。
車に乗るときの席順
車では、タクシーなどの専任の運転手がいる場合と、上司や取引先の方が自ら運転する場合とで、助手席の位置づけが変わります。
以下は、日本で一般的な右ハンドル車を想定した説明です。
上司や取引先の方が運転する場合


上司や取引先の方が自ら運転してくださる場合は、一般に助手席を上席とします。
同乗者の中で上位の人が隣に座ることで、運転する方と会話がしやすくなり、敬意を示すことにもつながります。
5人乗りの車に、運転者以外の4人が乗る場合の基本的な順番は、上座から順に次のとおりです。
- 助手席
- 運転席の後ろ
- 助手席の後ろ
- 後部座席の中央
ただし、後部座席でゆったり過ごしたいという希望があれば、それに合わせて構いません。人数だけで席を決めず、相手の希望を確認しましょう。
タクシーなど専任の運転手がいる場合


5人乗りの車に、運転者以外の4人が乗る場合は、一般に上座から次の順番になります。
- 運転手の後ろ
- 助手席の後ろ
- 後部座席の中央
- 助手席
助手席には、行き先の説明や支払いなどを担当する人が座ると、やり取りがしやすくなります。
ただし、奥の席への移動が難しい方には、乗り降りしやすい助手席後方の席を勧めるなど、状況に応じて調整します。
後部座席の中央が窮屈な場合も、快適さを考えて座る位置を相談しましょう。
3列シートの車の場合
ミニバンなどの席順は、2列目・3列目の広さや座席のつくりによっても変わります。
また、上司や取引先の方が自ら運転する場合と、専任の運転手がいる場合では、席順が異なります。
以下は、右ハンドルで、2列目・3列目がそれぞれ3人掛けになっている8人乗りの配置例です。
左右は、車の進行方向を向いたときの位置になります。
上司・取引先の方が運転する場合


一般に、運転する方と会話がしやすい助手席を上座とします。上座から次の順番です。
- 助手席
- 2列目の右側(運転席の後ろ)
- 2列目の左側(助手席の後ろ)
- 2列目の中央
- 3列目の右側
- 3列目の左側
- 3列目の中央
タクシーなど専任の運転手がいる場合


一般に、2列目の運転席後方を上座とします。上座から次の順番です。
- 2列目の右側(運転席の後ろ)
- 2列目の左側(助手席の後ろ)
- 2列目の中央
- 助手席
- 3列目の右側
- 3列目の左側
- 3列目の中央
3列目は2列目に比べて乗り降りしにくいことが多く、この配置例では下位の席としています。
また、各列の中央は左右の席より窮屈になりやすいため、その列の中では下位になります。
ただし、3列シートの車は、車種によって座席の広さや構成が異なります。
図の順位は一例として、実際の座り心地や乗り降りのしやすさ、本人の希望に合わせて調整しましょう。
飛行機・新幹線の席順
飛行機の3人掛けの座席


飛行機の窓側を含む3人掛けでは、一般的に上座から順に、窓側・通路側・中央となります。
ただし、通路側の方が出入りしやすく、好まれる場合もあります。予約を取る前に、窓側と通路側のどちらを希望するか確認するとよいでしょう。
新幹線の横並びの座席
2人掛けでは、一般に窓側を上席とします。
3人掛けでは、飛行機と同様に、窓側、通路側、中央の順が目安です。
こちらも本人の希望を確認し、席を立つ機会が多い方には通路側を選ぶなど、過ごしやすさを優先しましょう。
新幹線で4人が向かい合って座る場合


2人掛けの座席を向かい合わせにした場合は、一般に上座から次の順番とされます。
- 進行方向を向く窓側
- 進行方向と反対を向く窓側
- 進行方向を向く通路側
- 進行方向と反対を向く通路側
後ろ向きの席が苦手な方もいるため、席順だけで決めず、希望を確認しましょう。
迷ったときは、案内と相手の希望を確認する
席順は、お客様や目上の方への配慮を形にするためのものです。
訪問先では案内された席に座り、自分が案内する側なら、基本の席順を踏まえて相手が落ち着いて過ごせる席を勧めましょう。
判断に迷う場合は、主催者に確認したり、「こちらのお席はいかがでしょうか」と相手に尋ねたりして構いません。基本を知ったうえで、その場に合った気配りができるとよいですね。
